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[コメント] バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014/米)

川のように切れ目なく流れる映像に身をゆだね、我々観客もまたリーガン(マイケル・キートン)とともに主観と客観の狭間の閉塞空間へと追い込まれる。そこに、息苦しさはない。むしろ苦痛の一歩手前の酩酊状態でリーガンとともにカオスを彷徨する快感を生む。
ぽんしゅう

描かれるのは、愛を与えては裏切られ、愛を求めてはうとんじられる者の悲哀と滑稽。それは、まさに映画という虚構を生きたリーガンと、映画という虚構に救いを求める我々の姿だ。そこに込められた、ハリウッドという巨大な「夢」の乱造システムへの愛憎と、空疎な権威で「夢」を批評するコバンザメ的メディアや、貪欲な「夢」の浪費者たる我々観客への皮肉が自虐的に心地よいのだ。

これは、裏切られ、うとまれ、悩み、気落ちする者たちへの愛情あふれるアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの「夢」賛歌だ。

(評価:★4)

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