[コメント] コロンバス(2017/米)
前世代の様式建築がもつ情緒性の否定がモダニズム建築のアイデンティティだとしたら、母親との葛藤をかかえた娘(ヘイリー・ルー・リチャードソン)が、モダニズムの感傷を拒絶するような怜悧な美しさに癒しを見出しオタク的逃避先に選ぶ道理にもうなづける。
一方、父親との確執をかかえた息子(ジョン・チョウ)にとっては、モダニズムの合理性がもつ低温感が無意識のうちに父親の態度とダブっていたのかもしれない。そんな“無機”にとらわれた二人の対話の積み重ねが、いつしか“有機”として感情を蘇生させる物語なのだろう。
監督・脚本のコゴナダは小津安二郎を敬愛しているのだそうです。随所にオマージュが出てくるのですが、ひとり親を置いて家から独立できない母娘というモチーフもまた、小津映画の父(笠智衆)と娘、紀子(原節子)の翻案なのでしょうね。
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