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[コメント] COME&GO カム・アンド・ゴー(2020/日=マレーシア)

9つの国籍の人々が織りなす物語の視座は、民族や文化といった「多視点」ではなく、大阪キタという「定点」を通して、それぞれのコミュニティを出た個人の、それぞれの事情として描かれる。そこには対立や分断ではなく、生活者としての懸命な意志と希望がほの見える。
ぽんしゅう

それは、外国人にとっての日本という「外国」や、日本人にとっての日本という「社会」に、有りそうで無さそうな曖昧な壁は、私たちが生活者という“個人”のレベルに立ったときには、ほとんど意味をなさなくなってしまうのだ、ということ示唆しているのだと思う。

これは日本映画界が見落としてる、あるいは日本人には見えていない、まぎれもない日本の断面を通して、国境や民族を無化してしまう映画作家リム・カーワイならではの稀有な日本映画だ。この視点が持てない我々日本人にこびりついた島国意識の矮小さに改めて気づかされる。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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