半落ちのタイトルが出るまでのはじめの数シーン。連続暴行魔に飲んだ農薬を吐かせるショット。状況説明だけのおざなりな作り。この事件は、事件記者と警察の取引に使われるだけで、内容には立ち入らない。アルツハイマーの描写もきれいすぎる。原田美枝子演ずる啓子、白血病で子供を失った母親のリアリティはあるが、それ以上ではない。まして裁判官の父親がアルツハイマーという設定には作為を感じる。原作がそうだと言っても、あの描写ではなんだかビッグコミックだ。検察と警察の確執も、エリートと現場たたき上げの対立もＮＨＫ風湾岸署じゃないのか。寺尾を始め役者の好演が随所に見られたのが救い。