I can't survive without you...

予想された展開といえ、その後にヒロインが彼を送り出すラストは、自らも恋人と一緒に戦うことを決断した心意気に溢れていた。それはそれで、彼女にもヒーローの恋人たる資格はあると思うのだが、ところでズタボロになったスパイダースーツは、誰が繕うんだ？

以下、MJに捧げる・・・。

別に、男は外で戦い、女は家で身の回りの世話をしていればいいなどと言っているわけじゃない。色落ちするスパイダースーツを、ネットに入れもしないでパンツと一緒に洗っているようでは、彼に任せておくのが心配なだけだ。パンツと一緒に適当に水洗いして、縮んだらどうすんだよ？ 彼はヒーローなのだよ。ヒーローとして、大衆の面前で戦わなければならないのだ。予告なしの出動とはいえ、前回出動したままの、汚れて色褪せしてあちこち綻びているようなスーツで出っ張たら、彼を人生の目標にしている少年少女たちに悪い影響を与える。きちんとした仕事のできる人は、大概身なりもきちんとしているものだ。命がけで出っ張る彼の身支度を気遣えるのは君だけなのだよ、MJ。

暴走列車を止めるためにズタボロになったスパイダースーツを、彼がいつの間に繕ったかは謎である。多分宿題そっちのけで夜鍋して繕ったのだろう。そして次の日は寝坊して授業に遅れてしまい、教授の印象と成績は益々悪化し、気分は瞳の色よりもはるかに濃いブルーになっていく・・・。そんな時は、一緒に戦うと決意した恋人の一針が心に沁みるのだよ。

糸は彼が自分で吐ける。必要なのは針だけだ。たとえ100回のキスよりも、暴走する列車をも止めてしまうスーパー張力のビロロン糸で、戦うためのスーツを繕う恋人の一針の方が、どんなにか一緒に戦うことになるだろう。

花嫁衣装でタイガー呼ばわりするのも悪くはないけど、「スーツか綻びたら私が繕ってあげるから、存分にやってきて」と送り出す方が、この小心者ヒーローを働かせるには何十倍も効果があると思う(つうか、少なくとも僕は、そんな風に奥さんにコントロールされていると、今更ながらに気がついた・・・僕はヒーローじゃないけどね)。