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[コメント] 薔薇の名前(1986/独=仏=伊)

ただ一つ『薔薇の名前』から超越したロン・パールマンの《顔》。
ヒエロ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







原作者のウンベルト・エーコは記号学者で、タイトルの『薔薇の名前』は、本だの教義だの宗派だのに翻弄されて生きる人間の行為そのものを表わしている。映画の最後に象徴的に詠われる "stat rosa pristina nomine, nomina nnda tenemus" は、内なる規範を持たずに生きることの愚かしさと儚しさを、アドソとの一時の快楽に浸った少女に投影している(アドソは、それを愛と勘違いするところもシンボリックであり、そこまで捻るか?ふつう・・・とチョット呆れたが)。

この作品の中で、ロン・パールマン演じる異端の修道士は、教会の決めた教義がフィクションであり、自らの選択こそがエクスタシーを得る道であることを知っている。その意味で、確かに確信的異端者なのだが、この修道士こそが登場人物の中で唯一、他者に危害を加えず自分に素直に生きたお陰で殺される。自らの規範に従ったのは、ショーン・コネリー演じる他宗派の探偵修道士とて同じなのだが、こちらは恥部を暴いて生き残る。ここらあたりが現代にも通じる『薔薇の名前』なのだろうと想う。

それにしても、僕は、この作品のロン・パールマンの顔が好きだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)山ちゃん Orpheus りかちゅ[*] ゑぎ[*]

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