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[コメント] 眺めのいい部屋(1986/英)

アリア『私のお父さん』の旋律、イタリア(フィレンツェ)の景色、衣装と小道具、それぞれが非常に美しく、イタリアの雰囲気と魅力を十分に描いている。「イタリアには不思議な力があるわ。どんな堅物もロマンティックに変えてしまうの。」 
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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全体的に細部にまで気を使って作られている印象。人物それぞれの性格描写から衣装小道具、シーンの構成一つ一つが丁寧に思えた。

例えば草原での突然のキスシーンも唐突だと思わない程、それまでに細かく丁寧なシーンが重なっている。二人がお互いどこにどうして惹かれたのかが詳しく描写されていないのだが、あのキスシーンが全く自然に受け入れられる様な話の運び方が上手い。

また”ピアノ”がストーリーの上でとても上手く使われている。例えば、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第21番『ヴァルトシュタイン』をルーシーが情熱的に弾いているのを見たビーブ牧師が「その情熱を外に向けるなら、あなたはすばらしい人生を送れる」と話すシーン。ピアノでルーシーの心の中に隠れた情熱を表現するなんて素敵だった。他にも何度かピアノを弾くシーンが登場する。

わたしは個人的にオペラが好きなのであの美しいアリア『わたしのお父さん』の使われ方にもウットリしてしまう。アリアの中でも旋律が美しく、映画にも度々使われるアリアであるがその中でも非常に心に残る映画。歌詞の内容は娘が父に恋人と結婚してもいいかとねだっている曲。「もしだめならば、アルノ川に身を投げるわ。」 アルノ川はあの眺めのいい部屋からすぐ下に見える川。歌っているキリ・テ・カナワは当時No.1ソプラノと言われていた歌手。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)YO--CHAN[*] 草月[*] ぴよっちょ[*]

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