◆あちこちで何度も書いてるけど、そもそもロードムービーとは、旅はするけれども目的地に到着することはさして重要なことではない。旅をしていく中で、登場人物たちがどう変容するのか、あるいはしないのかが見所なのだ。まぁたいがい変容するんだけどねｗ。変わるのは個人の内面であったり、関係性であったり、それは映画の主題による。

◆まぁ、冷静に考えるとこの一家、結末を迎えてからも取り巻く状況は何一つ好転していない。むしろ悪化してさえいる。なのに、観終わってから「よかったねぇ」と思えるのだ。何故か？左様、変容しているからだ。バラバラだった家族が再びひとつになることは、破産することよりも、自分の夢が絶たれることよりも、ゲイの恋人に振られることよりももっと重要なことだったのだな。クラッチがイカれたおんぼろミニバンを、家族全員で押し掛けするシーンが何度も繰り返されることでそれを象徴している。必死に走って一人ずつ順番に乗り込む。一人も取り残すことなく。もしかしたら、後の映画史に残る名シーンになるやも知れない。

◆本人無自覚のまま、家族を束ねることとなる子役のオリーブちゃん可愛い。とても子どもらしい演技（演技なのか？）。気味の悪い薄ら笑いを浮かべるライバル達よりも、君こそ本当のリトルミスサンシャイン。ジャンキーの不良じいちゃんカッコイイ。そうだよ、あんなジジイになりたいんだよ。ワタシはね。