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[コメント] 恋人たちの予感(1989/米)

異性の相手に対して親愛の気持ちを持っている以上、それを「友情」だとか「恋愛」だとか、“言葉”によって線引きしようとすること自体がそもそもナンセンス。何よりこの映画は、落としどころを根本的に見誤っていると思う。

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 これはこの映画を観た人なら皆感じることだと思うが、主人公二人は物語のかなり早い段階から、普通にカップルとして付き合っている。少なくとも第三者的にはそう見える。単に「Hはしてない」ってだけで。

 要は、男女で“友情”と“恋愛”の境界線なんて、それくらいアイマイなものなのだ。それは作り手も自覚してるはずで、だからこそ随所に、老夫婦の美化された懐古談をアイロニーとして入れて見せているのだと思う。

 ところがこの映画は、セックスの問題を一番ラストに持ってきてしまっている。カラダの関係を持ったことで、今まで“友情”と割り切っていたものが、いきなり“恋愛”へと変わってしまうような描かれ方。これではまるで、「セックスしたか/してないか」が「恋愛/友情」の境界線みたいではないか。

 もし「男女間で友情は成立するか?」を本気で描く気があるのなら、セックスの問題は、ラストよりずっと前に解決しておくべきだった。こんな「二人がようやく結ばれてよかったね」的なラストでは、せっかくのテーマも「結局はセックスかよ!」ということになってしまう。構成にもう一工夫あれば、ユニークなテーマももっと活きてきただろうにと、ハッピーエンドではありながら、鑑賞後にモヤモヤした消化不良感が残ってしまったのだった。なんとも残念。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ダリア[*]

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