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[コメント] 嫌われ松子の一生(2006/日)

お気に入りのTシャツを洗濯機でぐるんぐるん洗ったら、うっかり色物も一緒に入ってて毒々七色迷彩になっちゃった感じ。ところがどっこい、この毒々七色迷彩Tシャツ、わりと着れちゃうのよね。それがすごい。
ebi

悲劇でもあり喜劇でもあるんだけど、何にしても痛快娯楽活劇。明らかに絵空事なのに、ぐいぐい引き込まれた。いい意味で、もう二度と見たくない映画。

ちょっとシンミリ思ったのは、人の人生って振り返るとわりと、あっという間なんだなぁって事。ここで描かれた松子以外にも、なぁーんてこたない一日を過ごしてる松子もいるはずだけど、人生全体からすれば振り返るに値しない事。結局、何を振り返るかって人生におけるターニングポイントみたいなもんでしかないんじゃないかなーと思う。劇中、松子は何度も“人生終わった”と思う。それがターニングポイントのきっかけになる。つまりターニングポイントごとに人生が終わってるとすれば、松子は一生の内にいくつもの人生を生きたって事になる。どうしようもなく不幸で、こんな人生マッピラだと思いつつも、どこか惹かれる、あるいは羨ましく思うのは、つまりはそういう事だろう。ほとんどの人は安穏とした生活を営もうとするもんだ。それこそが幸せなんだと。でも、一生を終えようって時、振り返れるものなんて、たかが知れてると思う。どこを切っても金太郎、振り返るに値しない生活がただただ漫然と続いただけの薄い人生と言えなくもない。何をもって“いい人生”とするかは人それぞれだけど、もし“濃さ”でそれを計るのならば、松子は“いい人生”だったと言えるんじゃないだろうか。娯楽だから、こんな事感じなくていいんだろうけどもさ。娯楽だと認識してんのに、こういう事思っちゃってる自分が痛々しいので、このへんでやめとこ。

音楽良かった。今まで見た映画の音楽の中でも最強かも。音楽そのものってわけじゃなく、あくまで映画音楽として。絵と絡んでる事前提で。単純な事言うけど、普通ミュージカルってミュージカル部分でストーリーが止まるんよね。登場人物の心情を何倍にも誇張して歌ったり踊ったり。ともすれば、今ストーリー部分で行われた事を引き合いに出してまで。これが、なんだか単に“歌って踊りたいだけ”って手前勝手な根性に思われて腹が立つ事さえある。(『恋に唄えば』はホントがっかりだったもんなぁ)この映画は逆! ミュージカル的な部分で劇的に話を進行させ、そうじゃない部分で、じっくり描写。これが思いの他、しっくりきてて「ほぅ〜れ、歌が始まったぁ」とドキドキワクワクハラハラさせられた。見入ってしまった。テンポの良さにも繋がってた。

以上。(以上?)

さて、こういうテイスト(絵空事のような人生を追う形式)が好きな人は『千年女優』(アニメ)や、『ビッグフィッシュ』、あとポピュラーすぎて挙げるまでもないかもだけど『フォレスト・ガンプ』『アメリ』も、っぽいかな。単に似たテイストってだけでなく、どれも楽しめた作品なのでおすすめ。

(評価:★5)

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