[コメント] レジェンド・オブ・メキシコ デスペラード(2003/メキシコ=米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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ロバート・ロドリゲス監督の好みといえば、判りやすい脚本、そして、判りやすい役者だ、との印象を私は抱いている。脚本のことは最後で触れるとして、まずは役者について語らせてもらいたい。
本作にも登場したアントニオ・バンデラス、サルマ・ハエック、ダニー・トレホ、チーチ・マリン、特に後の2人は、ロドリゲス監督のほとんどの作品に出演していて完全なロドリゲスファミリーになっている(実際、あの強面のダニー・トレホは、監督の実の従兄弟だったりする)。彼らの共通点はその表情がわかりやすい点だ。
さて、ここで脱線。
実は、私が本作を始めて鑑賞したのは日本公開に先立つこと半年、趣味でベルリンマラソンを走ったついでに、あちらの劇場の雰囲気を感じたい!と思って鑑賞したのがこれ。ドイツでは字幕上映はほとんどなく、ドイツ語での鑑賞となることから(注;日本でこそ字幕は定着しているものの海外では吹き替えが主流なことが多い)、判りやすい作品を探していたところ、バンデラスのポスターのエル・マリアッチの文字に惹かれて本作を選んだのでした。
今回、ようやく日本で再観賞することができて、驚きました。何が驚いたって、バンデラスとサルマ・ハエックとダニー・トレホの部分は、ドイツ語がさっぱり判らなかったにもかかわらず、ほぼ理解できていたのです。また、マリアッチの一味のほかの2人(酔っ払いと女たらし)など誤解のしようもなく、そのまんまでした。
特にダニー・トレホは強面(こわもて)なので、無表情のように思われる方もいるかもしれないですが、あれでいてなかなかでして、怖そうな人ほど微笑みや考える表情などを隠せない(彼の場合、それも演技だとは思うのですが・・・)一例だと思います。途中でジョニー・デップを裏切ったことまでも「言葉」抜きで何となく理解できました。
更には、表情の判りやすい役者で忘れてはならないのは(多分)ロドリゲス監督作品初登場となるウィレム・デフォー。デフォーの隣に表情の冴えないそっくりさん(影武者)を並べたり、デフォーを包帯でぐるぐる巻きにして、隠された表情を強調させたりするところにも、ロドリゲス監督の表情へのこだわりを感じる。そんなデフォーも監督のファミリーに入りそうな予感がします。
以上は、ロドリゲス監督らしい人物描写だと思います。ところが、他の主要人物の中でとくにジョニー・デップ、ミッキー・ローク、そしてエヴァ・メンデスは、いったい良い人なのか?悪い人なのか? 言葉を理解できない状況ではよく捉えられなかった。どうも表情が判りにくいんですよね。正直、デップは、クールだけど笑わせてくれる、そんなお笑いキャラで、本作はコメディだとすら思ってました。あちらの観客はよく笑いますし・・・(笑)
以上の経験から何が言いたいかというと、(どうか普通に鑑賞して普通にコメントを書けよ!などと言わないでほしい、)、しっかりと表情で伝えることが大事なのでは?という、我ながらごく普通のことだったのです。
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大分と長くなりました。ここで脚本についても少しだけ。
アントニオ・バンデラスとジョニー・デップ、2人の主人公を置いた本作は、結果的に前作ほどのインパクトはなくなりました。おそらく、デップが主役なのでは?とでもいわんばかりにその出番が多かったのは、そこにいないマリアッチの存在を演出するためのもので、ジョニー・デップは云わば「惹き立て役」のような役柄だったということではないでしょうか? つまりは、伝説に残るのは(両目を失いつつも戦った)デップではなく、ギター弾きの殺し屋「マリアッチ」だ、ということ。
こう考えると、デップの演技も意図したように表情を少なくしていたように思えるし、その彼から両目を奪ってしまう(表情を完全に奪ってしまう)のも、本作の魅力はデップのトークでなく、”マリアッチ”の表情だよ!という監督の意図が含まれていたような気がする。
前作の成功は、ブシェーミが引っ張って、引っ張って、引っ張って・・・のところでマリアッチだったようにブシェーミの怪演によるところも大きいのですが、本作では、その役目を半主役・半演技のデップに託した上に、他の主要人物も多く、それぞれの裏切りが複雑(というほどでもないが)という点、判りやすさを重んじ「シンプル・イズ・ベスト」のロドリゲス監督の味があまり出てなかったように思える。ロドリゲス監督作品としてはやや不満足といったところです。
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以下、初回鑑賞時の簡易コメント。
ドイツで鑑賞。ドイツ語はさっぱりだが笑えた。バンデラスのマリアッチに通訳は無用っすね。しかし、ドイツ人吹き替えうまいねー(本公開で再見するまでの仮コメント)
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