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[コメント] 再見〈ツァイツェン〉 また逢う日まで(2001/中国)

兄弟愛をストレートに描いた作品。泣きました。
スパルタのキツネ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







最近の中国の映画、文革と家族・大地をテーマとして扱ったストレートな作品が多くって好きです。いつもまんまと壷にはまってしまう私。以下、私の好きな漢詩が引用されていたので、その詩についてコメントします。

次男のティエンが養父母との面談時「豆」を題材に詠んだ詩は、三国志の英雄である父曹操の死後、曹操に愛された文才豊かな次男曹植の存在を危険と感じた長男曹丕が、弟の文才を辱めた後、死罪にしようと、7歩歩くうちに「兄弟」という言葉を使わずに「兄弟」を詠め、できなければ死罪だ、と難問を与えた際に曹植が兄曹丕に向け詠んだ詩として知られています。

大意は

釜の中で煮られる豆も、釜の下で燃やされる豆がらも、もともとは同じ兄弟なのに、どうして天はこのような悲しい仕打ちを与えるのでしょうか?

でして、兄弟の悲しみに満ちた詩です。さしもの曹丕もこれには感嘆したといわれています。

この詩を選び諳んじたティエンの心境と離れ離れになる兄弟の状況を考えると、素晴らしく本作にマッチした詩だと思いました。また、ティエンが詠んだ詩は音がなんとも美しく、漢詩はやはり中国語だなーと思いました。

作品としては、兄弟をやがては水になり一つになる雪に例えていましたが、私は雪より、曹植の豆のほうが、本作にはぴったりだと思いました。ラストのステージの抱擁は、3個の豆(兄弟)を豆がら(兄)が包んでいるようでした。

(評価:★4)

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