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[コメント] スコルピオンの恋まじない(2001/米=独)

一言で言うと、本作は映画と言うよりも、良く出来たTVコメディのような印象を受ける。
スパルタのキツネ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







それ故に映画的に「お〜!」と感心するシーンや、びっくり仰天、起伏のあるストーリ展開は無いものの、気軽に楽しめる良さがある。 ウッディ・アレン監督は、力の抜けた自身の演技からも見て取れるように意図してこのように演出しているのだろう。トランス状態時の音楽が笑える。

オフィッスを舞台とした有名なコメディ映画と言えば『アパートの鍵貸します』をまず思い出すが、その見事なまでにドタバタなストーリ展開、そして、オフィッスの映像一つをとってもビリー・ワイルダー監督のスタンスとは大きな違いがある。どちらが好みかと言うと、私は断然ワイルダーなのですが、そんな私でも本作は面白いと思った。

そして、私の一押し女優ヘレン・ハント。 日本ではあまり知られていないかもしれないが、ヘレン・ハントのTV界のキャリアはかなり長く、それは子供時代にまで遡ることができる。ヘレンは『ツイスター』で一躍映画界で有名になってからもTVドラマへの出演は続けている。私も一度、アメリカ滞在時にTVコメディに出演しているヘレン・ハントに偶然にも(幸運にも)お目にかかることができたのですが、映画の印象とかなり違うので驚いた。彼女の表情はすごく楽しそうだった。

映画では、ヘレン・ハントがコメディ映画に出演する姿にはあまりお目にかかれない。『ハート・オブ・ウーマン』は本作と同じくコメディ&ロマンス映画ですが、ヘレン・ハントの役どころはほとんど同じでも、相手役がメル・ギブソンウッディ・アレンでは随分と味が変わってくる。今にして思えば『ハート・オブ・ウーマン』のヘレン・ハントは、映画的にもTVドラマ的にもあまり輝いていなかったような気がする。思い切りの良いウッディ・アレン監督だからこそ、これだけコメディアンとしてのヘレン・ハントの旨味を引き出し得たんだと思う。2人がバーのステージに並ぶシーンなどは最高でしたね。金庫の奥からのカットも最高!

あと、もう一点。『ツイスター』で嵐を追い続けて以来、すべての作品で雨雲、しかも土砂降りを伴う雨雲に付きまとわれていた彼女も、本作のおまじないのお陰?か、ようやくそのジンクスから解放されたようです(笑) 今回は雨ではなく花火の雨でしたね。これからの作品での彼女の表情は晴々としてくるのでしょう。 って、本当か? やつれた表情とそこから滲み出る微笑みに感じ入るヘレンファンの私としてはそれはちょっと困る!

(評価:★4)

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