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[コメント] 兵隊極道(1968/日)

時代設定を戦時中の軍隊に置き換えた番外編であるが、その事がこれほど「任侠」「軍隊」の本質を突いてしまうとは佐伯清自身も気が付かなかったのだろう。この設定、単純にコミカルにされているのが重ね重ね残念。
sawa:38

娑婆では一家を率いるヤクザの大親分でさえ一歩軍隊へ入れば、そこは一兵卒。逆に娑婆では一介の小市民だったような男が上官として極道たちをしばき上げる。

極道の世界は一般社会からすると特殊な世界である。親分子分の絶対服従の組織の中で義理の為には命まで捨て去る。対して軍隊も特殊さは変わらない。ただしそこには義理も人情も無い。あるのは命令だけ、しいて言えば戦友との友情ぐらいだろうか。

いったい誰の為になら命を捨てられるのか?親分の為か陛下の為か?この似て非なるモノの違いは何なんだろうか?

どちらも「不条理」である。この「不条理」な世界観の掛け合わせから見えてくるものの全貌は果てしなくデカイ。とても一本のB級映画で扱いきれるものじゃない。そんな事は百も承知だが、それでもコノ絶妙な時代・舞台設定をしたからには、もっともっと踏み込んでいって欲しかった。島村清吉という破天荒キャラを使ってならコミカルな中でソレが出来たんじゃないかと思う。

ただ単純に「極道が軍隊に入ったら?」というようなコミカル未体験ツアーになってしまったのがつくづく残念至極である。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)水那岐[*]

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