アメリカ人(というかトム?)には、“侍”という“日本人”はとてもとても素敵に写っているのだなぁ…と思ったら嬉しくなってしまう。いや、別に私自身、大して侍に興味がある訳でもないのだが……(すみません)。

でも、一番の驚きなのは、ハリウッド映画にここまで“時代劇”が作れてしまう事実。最近日本映画でも評価されてきた時代劇と言えば『たそがれ清兵衛』や『雨あがる』などあるが(どちらも未見…)。中には『千年の恋』とか、心底とんでもない、それこそ今迄外国が作ってきた日本像くらいにとんでもない“時代劇”と名のつく映画も存在してしまう。TVの時代劇にしたって、ちゃんとしたものもあるにせよ、日本を代表する(?)時代劇の枠であるあの大河ドラマだって近年は「何作ってんの?」と問いたい時がある。しかし、この『ラストサムライ』ってやつは大したもの。とにかく“侍”がカッコよくて、でも新鮮で、素敵で、時代劇に興味のない私でもすっかり夢中にさせられた。森の中から侍が走ってくるシーンは忘れられない。

とにかく渡辺謙が素晴らしいのなんの!御家人斬九郎で彼には夢中になった時期があったから、彼の良さは知っていたのだが、これで再確認。彼は素晴らしい役者だ。勝元は、最後、完璧な桜を見て“言葉”を思いつき、それを抱いて死んだのだろうな……。そして、真田広之も良かった。姿勢や身のこなしの凛々しさは一番!流石だ。それに加え、小雪の美しさ、信忠を熱演した小山田シンの良さ(彼で涙腺がおかしくなり始めたんだよな)等、日本人俳優の素晴らしさも確認でき、この映画が日本に敬意を払っている事が判って嬉しくなる。心なしか、渡辺謙に引きずられてトムもいつもより表情が良かったような…?でも、トムもこの映画には並々ならぬ思い入れがあったのだろう

とにかく終盤は侍の男っぷりに泣きっぱなし。勝元の男らしさに惚れぬいた。日本人が作るとこういうふうにはいかないんだろうな…アメリカ人の侍に対する羨望、憧れがこれを作ったのだろう。日本は日本でしか作れないいい時代劇を作っていけばいいのだな、うん 最後に、トム・クルーズ様、いいものを見せてくれて有難う御座います。貴方が日本に、日本人にしてくれたように、私も貴方に敬意を表したいと思います。これからも素晴らしい映画を製作、出演する事を心から祈っています