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[コメント] エル・シド(1961/米)

ソフィア=ローレンは人を愛するよりも憎む役の方が数倍似合ってる気がします。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 11世紀レコンキスタで活躍したカスティリアの武将本名ロドリゴ=ディアス=デ・ビバールの激しい生涯を描いた作品。寡聞にしてこの人のことは知らなかったが、調べてみると、スペインではかなり有名な英雄として讃えられている人物で、英雄譚「わがシドの歌」は最古のスペイン文学であり、妖精に鍛えられたと言われる彼の愛剣ティソナは現在もマドリードの博物館に収められているとか。

 本作はそんな英雄譚を、愛蔵劇を主軸に描いている。流石歴史大作だけあってセットの豪華さや、エキストラの数、合戦の描写など確かに妥協のない作品に仕上がっている。ま、話としては大変王道な作りだが、あまり知られてない人が主人公だから、歴史の推察には丁度良い(お陰でこれ書くのにも勉強になった)。

 ただ、本作の場合、そう言うスペクタクルシーンよりもやっぱり主役二人の濃さが本作の一番の売りでは無かろうか?

 こういった大作スペクタクルであれば常連とも言えるヘストンは今回も貫禄。堂々たる偉丈夫ぶりを見せているが、その相手役のローレンは濃さの上で全く負けてない…と言うか、この作品、実はヘストンじゃなくてローレンの方が主役なんじゃないのか?と思わせるほどの存在感。登場するシーンは少ないのだが、出てくるだけで空気が一気に濃密になるかのような思いをさせられてしまう。

 そして物語としても、この二人の関係がどんどん変わっていくのが見所。まさに“愛憎劇”そのもの。憎んで憎んで憎みきって、その中で愛がはぐくまれていく…こういうのは私は決して好きじゃないのだが、二人に当てられてしまった感じがする。最後はそのまんま「死せる孔明、生ける仲達を走らす」なんだが、調べてみたら本当にあったことだったとか。歴史上、こういうのって意外に多いのかも知れないな。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)りかちゅ[*] カレルレン[*]

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