ジェイソンの登場する『13日の金曜日』シリーズと双璧をなすホラー映画『エルム街の悪夢』シリーズの第1作目。特にホラーでは当然なのだが、この作品が一番完成度が高い。ナンシーが見ている世界が果たして現実なのか、夢なのか、その境目が怪しくなるあたりからまさに悪夢のような物語へと移行していく。確かに荒削りな所も多数見受けられるが、その分はパワーで吹き飛ばしている感じ。悪夢のシーンも結構見ていて面白く、風呂に入っていたらいきなり股間から手が出てきたり、電話口からいきなり舌が伸びてきたり、と、演出が楽しい。あれだけ苦労して消し去ったフレディが実は…と言うラストも悪くないが、これは続けるべきではなかっただろう。

　ところでフレディ役ですっかり有名になってしまったロバート・イングランドはそれまで人当たりの良い、あまり目立たない役ばかりやっていて、この映画もＴＶシリーズ「Ｖ」の撮影の合間に丁度空きがあったから、と言うだけの理由で出たそうだ。お陰でこの映画の後「Ｖ」を見ると、そのギャップに驚かされる。