[コメント] 麗しのサブリナ(1954/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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ヘップバーンとボギー。どっちも大好きな俳優だけに、この二人の組み合わせってだけで、観る前から絶対にこれははまるのが分かってしまった。しかも監督がこれ又大好きなワイルダーとあっては、どんなことがあっても評価が下がるはずがない…いや、そりゃまあ、オジさんと娘さんと言う変な組み合わせのラブコメであったとしても…
ストーリーは軽快で楽しいが、やっぱりワイルダーらしく、キャラクターが実に画面映えしてるのが最大の特徴か。その中でもヘップバーンの魅力が大爆発している。
考えてみれば配役が巧いんだよな。ホールデンは何でも器用にこなすタイプの役者だけど、女性相手の場合、いい具合に引っ込んで相手を立てるし、ボギーは尚更。単独ではあれだけ個性を出すのに、女性と対峙すると、相手を立てようとする。むしろ相手を引き立てることが上手い(この人はこういう役者だからこそ好きなんだが)。今回も見事にヘップバーンを立てていた。おじさん過ぎてミスキャストではないか?と言う意見もよく耳にするが、むしろこの人だからこそ、これだけヘップバーンが映えたんじゃないかな?勿論ヘップバーン自身有名男優二人を脇に下がらせるほどの存在感だったって事もあるだろうけど(日本公開のポスターではボガートよりヘップバーンの方が上になってるが、その扱いは正しいと思う)。ヘップバーン自身もそうだけど、ボギーにも惚れ直したって感じ。
後、やはりこの辺はワイルダー!と言う細かい演出もさえ渡っている。主題歌の“バラ色の人生”の見事なタイミングでの挿入もそうだし、ボガート演じるライナスのダサさを強調する傘の演出も上手い(ラストでそれを手放すところが心憎い演出だ)。それにライナスと秘書との掛け合い漫才のような丁々発止のやりとりがなんと言っても良い。この細かい笑いの演出こそがワイルダーの醍醐味と言って良い。
たった一つ本作品で不満があるとすれば、パリに行って変身する前のサブリナが可愛すぎるって所かな?(このときのパンツ姿が印象的で、サブリナ・パンツとして流行となると言うおまけが付く)オープニングシーンを観てると、「デヴィッドよ、おまえの目はどこに付いてるんだ?」と言いたくなってしまった。私としてはソフィスティケイトされた後半よりも前半の活発な彼女の方が可愛いと思うんだが…
…うーん。どうもいかん。これは映画評じゃなくてヘップバーン評になってるような…ま、いいか(笑)。
それと、くだらないことだが、最近映画を観るのにカメラの位置やレンズを意識するようになってきたのだが、ワイルダー監督、意識してか広角レンズをあまり使わず、標準レンズばかりを使ってるように見える。確かに監督作品の場合二人のアップシーンが多いから、標準レンズが効果的に用いられてるんだけど、「ここは広角を使うべきじゃないか?」と思ったシーンが2,3あった。何か理由があるんだろうか?
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