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[コメント] リリイ・シュシュのすべて(2001/日)

暴力と死の連続の中、漂流する孤独で無気力な少年たち。残酷な物語と美し過ぎるリリィ・シュシュの音楽の世界との対比が切ない。ずーと心の奥が痛む映画。
しゅんたろー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







あふれるエネルギーをどう消費していいか解らず、暴力と即物的な欲望に費やす。 そこには目標となるものも決めれず、連帯も無く、暴力に恐れながら力のあるもの に従い、漂うだけの少年たちがいるだけだ。

唯一リリィ・シュシュの音楽だけが彼のひそやかな楽しみなのだけれど、それが彼を 何か能動的な外部への働きかけとなるわけではない。 社会やオトナとのつながりは希薄で(面と向かって反抗することもない)、同世代と のつながりも本当ではない。現実から分断された少年の心の世界。

閉じられた小さな彼の世界は美しく、リリィ・シュシュの音楽も美しい。 現実が残酷であればあるほど、閉じられた世界は完璧で美しい。(閉じられた自分の 世界では死さえ美しいのかもしれない)

悲しい物語だけど、美しく切なく心が痛むのは、リリィ・シュシュの音楽の世界が 完璧でかけがえの無い唯一のものと思いこんでいる少年が現実の世界では余りにも 無力だからだろう。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] ina[*]

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