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[コメント] 道(1954/伊)

孤独である事の理由、孤独になってしまう事の原因、それがホトンドが自分のせいであるし、時には人の巡りのせいでもある、とてもうまくいかない事に。
あき♪

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ザンパーノとジェルミソーナ、ある意味とても似て、微妙に違う孤独感を持っている、二人である。

ジェルミソーナは自分が役に立たないと思い疎外感持ち孤独である。

ザンパーノは生きる為だけに生きている。 そしてそれが、自分では自分がどれだけ孤独な人間であるかと言う事を判っていない、・・・・いや、たぶん判らないふりをしているのである。

だから、ジェルミソーナがおかしくなった時、彼は置いて行ってしまう。 恐ろしいのだ、自分の手が本質的に人に接触してしまうのが。

本当に、厭ならばどこか他の安全な場所に連れて行けば良いのに。 言い切ってしまえば、ザンパーノは責任をとる事を恐れ、人に関わる事を恐れ、 只、自分の都合だけを優先させたいだけの腰抜けなのである。

要は、ジェルミソーナの孤独の質は人に近づきたいと願いながらうまくいかない孤独感であり、ザンパーノは人が恐ろしいから近づけない、でもそんな事は人に知られたくない、だから近づけない様に自分のプライドを保っていると言う孤独感なのである。

そして、彼女の死後残ったモノは、美しく切なく彼女が存在した事を示すラッパの響き。 そしてザンパーノに残っているのはいつも通りの酒の味とタバコの匂いだけなのである。

ラスト、ザンパノが流した涙はもしかしたら孤独になってしまった自分を哀れんでいる涙かも知れない、

でも、この時ばかりはジェルミソーナの為に、自分以外の人の為に初めて流した涙だと信じたい。

長々とレビュー書いてきたけど、人の心の変遷が複雑でレビュー書くのにちょっと困りました。。。

(評価:★4)

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