話半ばでの宮本信子の転属をウマく生かした、アクの強い脱税者を内側から見せる前半と、直の接触を絶って外側から見る後半のコントラストが良い。前半の脱税者のアクの強さが、後半では水面下でウマく生きている。ただその構成の妙が終盤にあまり生きてないのが残念。しんみりさせ過ぎて、アクの強いキャラが半分死んでいるような気がする。最後までブラックに徹して欲しかったってのが、個人的希望。

山崎努を始めとした脱税者たちが良い。監督の奥さんを散々活躍させようとするなら、それに負けないくらいの悪役を用意しなけりゃ釣り合いがとれないってことを再確認。『スーパーの女』などでは、それが見事に失敗して宮本の弱いものいじめみたいになっていたように思える。

それにしてもオヤヂテイスト。男の匂いではなくて、オヤジの体臭に胸ヤケ起こしそうになる。エロやギャグや業界知識のトッピングの仕方も、いかにも年配ウケしそうな青年誌の劇画調マンガっぽい。