数多の作品の元になったと言われている原作なのだが、その数多の作品を模倣して造られた映画なので単なるコピーとなっている点を、私が原作のファンだとしたら悲しんでいただろう。そのことに深い皮肉を感じる。トールキンの原作を猿真似することは容易く、トールキンを崇拝するあまりトールキンを越えようとしなかったことが、私に対するピータージャクソンの最大の敗因。ピータージャクソンが伝えたかったことは「指輪物語を映画化したのは私です」という、会社というヒエラルキーの中で一番嫌われるオレオレ社員の本質にほかならないのではないか。今回の全三部作で学べることは、現実世界に身を置けば９時間以下でわかることである。みてくれに力を入れるのではなく、原作に描かれているテーマをしっかりと描いて欲しい。原作の誕生から時間がかなり経過しているのだから、テーマをより深く描かなければいけないし、そこにオリジナリティを含ませることが可能ではないのか。時勢柄、これでは単に戦争を肯定する道具であり、テーマが全くもってCGとは対照的に緻密に描けていないことに、今だからこそ我に返って原作ファンは怒るべき。（まぁ、芸術作品「映画」だから、解釈の仕方によれば、どうにでも解釈は出来るのだが。）

※スペシャルエディションを買う人の気持ちが残念ながら理解できない。三部作が合計２時間になったスペシャルエディションなら、宝くじ２億円当たれば買うのにな。（ｂｙうまれてこのかた一度も宝くじを買ったことがない、生粋の宝くじ嫌い男性）

2004/09/07