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[コメント] ソドムの市(1975/仏=伊)

この作品を駄目とし隠そうとし闇に葬ろうとした人の作った、ボカシという騒音が騒げば騒ぐほど、高評価つながっていて全く滑稽だ。目に映画にボカシを付けた連中は、超耽美派と言えるこの作品を、もう一度よく鑑賞して見るべき。
ジャイアント白田

戦争という、人々の団結や限界を試す実験場が時に超合法なのだから、この映画も超合法であって目の届かない所へ隠す行為をすべきでないと思う。身勝手な知的自粛の粛正といったボカシによってスポイルされてしまった映画に同情を抱くと同時に、パゾリーニ魂がボカシという体制側から贈られた勲章によって逆に鮮明となり永遠に光り続けていくと感じる。

地獄絵図な残酷描写に対して、一方向の見地しか持ち合わせていなかった人には辛い時間だと思う。しかし、いわゆるグロの耽醜悪美派な部分は「美」に対する知的探求心を映像にするためにデフォルメした、逆説的に進んだ、作者の特産物にすぎない。この作品、耽美派たちの美の探求のドキュメンタリーであり、「美」を実験した一大イベント的映画だと思う。

整形などの様々な「美の追究」は数あれど、それらから出された研究結果に満足できないのは個人レベルという、広がりを伴わない、とてつもなく小さな所に完結しているからではないか。彼らは、そんな絶対的な答えに近い事を求める我らの代行者なのだ。見よ、この作品の広がりようを。

最後になるが、何事も飛び込んで経験しないことには何も始まらないし、何も生み出されないのだというのを経験させてくれた映画であり、堕落した自分のケツを脳と世間体の塊という常識を叩いてくる遺言状だった。遅いが、立ち会えて良かった。

2002/11/26

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ねこすけ[*] Ribot[*]

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