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[コメント] ラヴェンダーの咲く庭で(2004/英)

誰も何も思わないのか。
リア

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







青年(ダニエル・ブリュール) がなぜ海岸に流れついたのか、船の事故か?聞く者も居なければ調べる者も居ない。船の事故をラジオで耳にした、と言う者すら居なかった。

青年も青年で、他の者の安否を気にする風もなく…。アメリカに行く為単身で船に乗り込んでいたから気にならない可能性もあるが。

…愚問?

ただ私には、そうして日々淡々と過ぎていく…、と言うこの物語に対し、どうもすっきりしない違和感が残ったまま話は進行していき、、、

その違和感は後々まで尾を引き、ジャガイモを剥きながら青年が、お手伝いさんの分からない言葉で、「このジャガイモはあなたみたいだ。ブタ袋に詰めた〜」 等の毒を吐いた時、軽く戦慄がはしりました。

オルガの家で、感情をあらわにした時も同じです。

そして、オルガ(ナターシャ・マケルホーン) の行動。全ての行動が意味深に思えたし、どうもまわりくどい気がする。 医者に対する素っ気無さ過ぎる態度や、庭に入ってくると言う図々しさと言うか大胆さと言うか…それらも気に掛かる。

端整だが何を考えているのか分からない顔のつくりのせいもあるだろうが。

これらを踏まえ、最後の最後に何かとんでもない方向に話はいくのではなかろうか?これはサスペンス?と、ちょっと全体に漂う空気が不気味でした。

素晴らしかったのは、景色(町の人々の人柄やおっとりとした空気感も)と、二大女優さんです。

前情報なく鑑賞し直ぐ、青年に対しジャネット(マギー・スミス) は親心のような愛情、アーシュラ(ジュディ・デンチ) のは恋ゴコロと分かってしまう演技に感服です。

特にアーシュラを演じた ジュディ・デンチ です。姉のジャネットも直ぐには妹アーシュラがまさか青年に恋心を抱いているなんて分かりませんでした。「ちょっとおかしいな?」 って程度です。そして観てる私もそうでした。「あれ?これって恋ゴコロ?まさかね…あれー?でも…」 と言った具合です。そんな機微を演じきった!そこが特に凄いなと思いました。

最後のアーシュラの潔さも、素敵でした。

穏やかな日々も、いずれ終わり(別れ)がくる喜怒哀楽な日々も、どちらが良いんだろう、とか考えてしまいました。

青年は羽ばたいき成功をおさめ、輝かしい未来がある。老姉妹にとっては、別れは悲しいけれど良かったね。が普通かもしれませんが、嬉しい楽しい幸せな日々があっても、その後に ”悲しい” があるなら、何もなく穏やかにいきたい…が、私の今の心境だからです。

06.03.31

(評価:★3)

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