[コメント] ブルークラッシュ(2002/米=独)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
予告の段階から既に興奮気味だった訳で、本編もかなり前から期待していた。何しろ注目のミシェル・ロドリゲス主演最新作であり、スポ根映画なのだ。 今回彼女が演じるのは、過去に主人公に負けて以来、半分トレーナーとして主人公に思いを託している女の子な訳なのだが、正直、この映画で浮いていた気がする。いや、脚本家も敢えてこの、ミシェル・ロドリゲス演じる少女を浮かせたのであろうが、あの三人組のもう一人の女の子はあまりに能天気に振る舞い、さらに劇中で見せ場など無くギャーギャー騒いで能天気に振舞っているだけなのだ。それがミシェル・ロドリゲスとの大きなギャップを生み出している訳だ。観客が主人公に感情移入し始めたら、ミシェル・ロドリゲスは主役の一人であるにも関わらず観客からしてみれば悪役、に見えるのだ。
口やかましい女
そうにしか見えないのだ。大体、ホテルの従業員として三人で働いている序盤の描写。主人公と楽しそうに話をしているのはもう一人の能天気女だけなのだ。こんな描写ってアリか!?一番いい役なのだが、あの女(楽天的な能天気野郎)とのギャップで彼女が悪役に・・・
と、どうでもいい事を少し考えながら見ていた。
おまけに、彼女がどれだけ正論を言おうとひねくれ(否、恐怖に支配された)た主人公は逃げていくのだ。なんか、悪役だなぁ・・・
と、下らない事を考えながら見ていた訳だが、いやぁ面白かった(何じゃそりゃ?)
この映画、友情モノ、と言うよりも主人公の成長物語だね。
3年前の事故を引きずりながら波に乗れずに冷やかされ続け、さらにミシェル・ロドリゲスには夢を託され口やかましくトレーニングさせられる。本心は波に乗りたいのに、どうしても一歩が踏み出せない。あっ、妹がマリファナ吸ってナイトクラブに出入りしてやがる!母が出て行ってからもうこんな感じ。最悪。あっ、いい男。NFL?何それ?サーフィン教えてくれ?あぁ、私彼に惹かれてる私が居る・・・試合忘れるな?忘れてねーよ!
と、言うひねくれ者が、ミシェル・ロドリゲスに、ボーイフレンドに、そして最終的には対戦相手によって少しずつ自信と勇気を取り戻し、最終的に到達するのは、アドレナリンの波で観客を飲み込んでしまう程の感動のクライマックス。
ハワイの海の美しさと波の激しさと海の怖さ(っていうか、一番怖いのは水面下の珊瑚礁なんだけどね)の見事な水中カメラによる撮影。すげぇ。
CGなんかクソくらえ的なド派手な水中撮影と波の音と爆音で流れるサントラ、そしてビキニの美女!ひゃほぉ〜!!
基本的にこの映画は女の子の友情を描こうとはしていない。だって友情物語を描きたければ不仲になる前に仲の良い描写をするのが普通だが、この映画で主人公とミシェル・ロドリゲスが二人だけで楽しそうにしている描写など殆ど無い。恋愛には多少なり重点が置かれているようだが、所詮「一夏の恋」と言った感じ。それに、スポ根としても、ゲロ吐くほどの練習シーンがある訳でもないのだ。
基本的にこの映画でスポットを当てたのは主人公の葛藤。恋にサーフィンに恐怖心。だからクライマックス、全ての恐怖を断ち切って波に乗る彼女の姿が爽やかな感動だった訳だ。だからこの映画はスポ根映画ではなく、主人公、アン・マリーの成長物語。 サーファーガールが過去の失敗による恐怖と、恋愛と言う邪魔(?)を払いきって自分の道を行く、そういう話。
だから最後は勝って無くてもいい。予選落ちでもいい。たった一度の最高の波に乗れればそれでよかった。それで彼女が立ち直り、その後は語るに及ばず、そういう結末だろ、あれ。
もうレビューがマトモに書けない。この熱くて爽やかな感動×興奮はすげー!
けど、ミシェル・ロドリゲスの役柄。まぁ、あれは主人公の勇気を奮い立たせる為の役柄としてのクールな少女、という設定は良いのだが、あのアメフト選手。いや、アメフト選手の体がデカイ、そして小さい奴も居る、って事くらいは知ってるけど、あの黒人。ただデブなだけだろ。あの腹は・・・ただのデブだろ・・・?違うのか?
と、ここまで書いてしったのだが、あの能天気なねーちゃんは地元ハワイ出身の女性サーファーだったんだ・・・。おいおい、劇中であんたの波乗りほとんど登場してねーぞ。もったいないなぁ・・・。あれじゃただうるさい美人くらいにしか見えないっての。
―――追加8月17日
もうアホと言われてもバカと言われても構わない。三回見ました。俺は全力でこの映画を応援します(っても、02年の映画だから本国とかでは既にDVD発売されてるけど)。
三度見ても、長さを感じない歯切れ良いテンポ。軽い感じのティーンムービーと言った感じに見せておいて、実は単純なスポ根でも友情でも、まして恋愛でもない。
ラストシーン。確かにあの二人はラブシーンを演じるが、あれはそれまで、二人がホテルでしていたラブシーンではなく、恐らく「良き友」としてのラブシーンではないだろうか。
見た目こそ地味な作品だが、内容は素晴らしかった。これが、この異常気象の、例年よりも気温が低く雨の多い今年の夏に公開されていなければもっともっと興奮できただろうに・・・(本日の天気は雨)。
そりゃ、二度目から冷静に見れる訳だから、作品の粗も見えた。スタントだと言う事が分かり易いシーンなんぞ多々ある。おまけに、クライマックスのパイプ制覇のシーンで早送りを使っている箇所もあった(これだけは許せない)。
だが、全てを包み込む最後の彼女の笑顔。カメラマンが「予選落ちなのに?」と言い、それに対して「良い笑顔だ」と言う。その達成感に満ち溢れた彼女の笑顔は『ウォーターボーイズ』のラストシーンの爽快感に近い物があった。
っていうか、主役のケイト・ボスワース。本当に上手いと思う。サーフィンシーンの派手な箇所はスタントが多いが、そういう激しいシーンでも頑張りが見えてきたし、何よりも劇中での表情が良い。ラスとシーンの笑顔や、男に部屋に誘われた時に見せた恥ずかしそうな笑顔。
いや、マジイイっす(一体何!?)
そしてミシェル・ロドリゲス。二人の正反対的な魅力がぶつかりあい、そして主人公は自分の道を見つけ出す。
それまで曖昧になりかけていた目標がはっきりとする。雑念を払い、劇中の台詞を借りると「男に頼らない女」に戻った訳だ。
そしてクライマックスのサーフィン。
いやぁ、爽快爽快。
――――――――追加 8月21日
もう何も言いません。参りました。
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