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[コメント] スーパーマン(1978/米)

特撮アクション映画と思っていたが間違いだった。これは大人のための童話だ。
空イグアナ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







キャッチコピーは「あなたも空を飛べる。」最初読んだときは、ダサいなーと思ってしまった。ヒーローの映画なんだから、もっと熱くてかっこいいキャッチコピーにできないのか?

けど中身を見て思い直した。これはヒーローの燃えるような特撮アクション映画ではないのだ。(アメコミの原作はよく知らないが)この選択は正しかっただろう。そもそもスーパーマンは、コスチュームがダサいと思っていたのだ。熱く描こうとしたらかえって、かっこつけてるだけのダサいおっさんになったかもしれない。完成された映画は、エキストラに「兄ちゃんダサいぜ。」と先に突っ込ませて、観客から突っ込む隙を無くし、かっこよさではなくファンタジックな雰囲気を楽しむものに仕上がっていた。ヒロインがスーパーマンと一緒に空を飛ぶシーンは、なんてロマンチックなのだろう。作中、ピーターパンという言葉が出てくるが、子供に戻ったような気分なった。

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さて、話はガラリと変わって、ラストについてです。一部の文献で「地球の自転を逆転させ、時間を戻す。」と紹介されており、そのため、というわけではないのでしょうが、「自転が逆になったからと言って、時間が逆に流れるわけがない。」「慣性力でもっと巨大な地震が起きるはずだ。」という突っ込みを聞きます。僕もスーパーマンが、どこかの山をつかんで、地球をぐぐぐ〜っと押して逆転させるところを想像していました。しかし実際に観てみると、「地球の自転が逆になったから時間が逆転した」のではなく、「時間が逆転したから、自転が逆になった」ように見えます。スーパーマンが教育を受けるシーンで、「これが相対性理論だ。」という言葉が出てきます。作者は、よく言われる「光速を超えればタイムマシンができる。」という理屈であのシーンを作ったのではないでしょうか。

「時間を戻すなら、もっと前まで戻して、ヒロインだけでなく、もっと大勢の人を助けたらどうだ。」という突っ込みもよく聞きますが、僕はあれはヒロインを失って悲しみに包まれたスーパーマンの、火事場の馬鹿力的な能力だったのではないかと解釈しています。ヒロインと再会したとき、スーパーマン自身がきょとんとしていたように見えました(*1)。(父親の「人類の歴史を変えてはならない。」という説明もあります。ヒロイン一人ならよいが、大幅な変更は許されない、と作者は言いたかったのだと思います *2)

*1 車の窓越しに見る表情のことです。ガラスが汚れていて見づらいし、窓が開くと笑顔なのですが……。

*2 正確には、ヒロイン一人が助かっただけでも、歴史は大きく変わるものだと思います。ただ、藤子不二雄の漫画に、「歴史に大きな影響がない程度に変更する。」というのがあったので、それもありかなと。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)Myurakz[*]

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