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[コメント] 居酒屋(1956/仏=伊)

自尊心
ルミちゃん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「自尊心がそうさせるのだと思った」ルーブルでジェルヴェーズはグージェをこう思うのだけど、ジェルヴェーズがなぜグージェを好きになったかというと、この言葉にありそう.

反対に、なぜグージェはジェルヴェーズの前から去ったかというと、ジェルヴェーズが一生憎むべき前夫、ランチェに抱かれたから.つまり、この時ジェルヴェーズは、自尊心を失ってしまったと言える.

自尊心とはどの様なものか.それを互いに見出せば好きになり、それを失うと嫌いになる、愛を失うということ.

ジェルヴェーズがランチェに抱かれるのは、一見自然な成り行きに思え無くもないけど、自尊心っていとも簡単に、自ら失ってしまうものと言えそう.

この映画、原作であるゾラの居酒屋とは、別物であると考えなければいけません.ゾラの居酒屋は、労働者に光を当て、その教育の必要性を説くのが目的、この映画が撮られたのは、それから50年以上経過していて、もうそうした必要性はなく、まったく別な目的を持って映画化されたのは、当然の事と言えます.

付け加えれば、自然主義とは作品全体の構成、演出にあって、作品の内容自体を言うものではありません.

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)G31[*] TOMIMORI[*] マグダラの阿闍世王[*]

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