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[コメント] カンゾー先生(1998/日)

走りまくる開業医、戦時下なのにどこか明るい人間模様、そして、ゆで卵。定期的に観たくなる作品。
NAMIhichi

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







開業医は足だ、片足折れなば片足にて走らん。両足折れなば手にて走らん。

このモットーは、柄本明演じるカンゾー先生のひたすら走る姿に象徴されている。とにかくよく走る。

この「開業医は足」というモットーを忘れ、肝臓病撲滅のために、一介の町医者から次第に逸脱するようになるカンゾー先生には、多少の名誉欲もあっただろうと思う。患者のために町中を走り回って生涯を終えるか、一人の医者として肝臓病の正体を暴き、成功するか。

多くのものを犠牲にしながら、偉大な業績を残す人間がいる一方、カンゾー先生のような一介の町医者は、毎日町中を走り回って生涯を終える。人はよく、他人の人生の価値を勝手に推し量るが、どちらの人生が良いかなんて比べても意味はないし、人生に良いも悪いもないと思う。カンゾー先生は、「開業医は足」というモットーを思い出し、自分は町医者であること、今そこにいる自分の患者のもとに走ること、これが他でもない自分のために生きることなのだと気づく。「疲れても走れ、寝ても走れ、走りに走りて生涯を終らん」。立派な信念や使命もいいが、こういう姿には人を感動させる力があると思う。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)Stay-Gold アルシュ[*] ぽんしゅう[*]

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