オレはゴキブリが嫌いだ。いや、嫌いなのではない、怖いのだ。アイツは何も恐れないし、何も迷わない。決断も早い。アイツと遭遇したらもうどうしようもない。オレは１度アイツと目が合った。先に目をそらしたのは、恥ずかしながらオレの方だった。アイツは目をそらしたオレをあざ笑うように、ゆうゆうと立ち去ったものだった。悪夢の中にアイツが出てきたら大変だ。この映画を観たのち、しばらくオレは毎晩夢の中でゴキブリ軍団にうなされた。エルム街のフレディよりも恐ろしいのがゴキブリなのである。

この映画にとってゴキブリは１要素にしか過ぎないが、オレにとっては全てである。凄まじい体験だった。この映画をもう一度観ることは、一生ないだろう。

先日ビデオ屋で『ザ・ネスト』という映画のジャケットを見かけた。ジャケットは無数のゴキブリの写真で埋め尽くされていた。なんとこれは全編ゴキブリだらけのゴキブリ映画なのだ。ぜってえ観ねえ！！