[コメント] GOD*DIVA ゴッド・ディーバ(2004/仏=伊=英)
実写の主要登場人物(キグルミも含めて)が実写でなければならない理由は絶対にあると思う。だが、逆に、CGの登場人物たちがCGでなければならない理由というものは無いだろう。これは恥も外聞もかなぐり捨てての一大賭博なのだ。CGで描かれた世界に実際の人物を入れるよりもCGの人物を入れる方が楽で安上がりであれば、それで良いじゃないかと割り切ってる。あちらこちらの映画人が腐心しているであろうデジタル導入の許容範囲というものをエンキ・ビラルは事もあろうに信念のみで打破してしまったのだ。もしかしたら、これは映画への大変な冒涜かもしれない。でも、何故だか全然貶す気にはなれない。「このぐらいCGだと分かっちゃっても許してよ」とでも言わんばかりのVFX濫用映画が大手を振るう中、「お前らが見るのはどうせCGなんだぜ」と開き直って、己に忠実に1つの世界を描き切る事だけに執着した信念は堂々たるもの。監督の抑え切れないSF映画への純粋な欲求がヒシヒシと感じられる。これは嫌いになれない。
確かにこんな強硬手段に出た映画が無遠慮にウジャウジャと出てきたら、絶対許せないと思うが、そうなる前にまずエンキ・ビラルのような人物がやってくれて本当に良かったと思う。最近のフランス映画界はやたら太っ腹なのだか単にバカなのだか分からないが、よくこんな大胆な真似をさせてしまうものだと感心。
話の筋自体はそれほど複雑でもなく、むしろ明快。あまりに俗っぽい神様の描写などとても茶目っ気があって、通好みな味が細部に散りばめられている。既にあちこちで言われているだろうけど、万人向けではないが、一部から支持される映画になりそうだ。
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