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[コメント] Helpless(1996/日)

そして『EUREKA』に続く。(レビューはラストに言及)
グラント・リー・バッファロー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







個々の作品は、その作品の中でのみで語るのが筋かもしれないし、ましてやこの作品は『EUREKA』より前に作られているもので、この作品を制作したときに『EUREKA』を意識しているはずもない。

しかし『EUREKA』を経験した私にとって、この二作品を切り離して語ることは困難である。

最後に浅野忠信演じる健次が辻香緒里演じるやくざの妹を連れてバイクで逃げることこそが、世界を知るための旅の始まりであり、それが彼らにとってのhelplessからの一筋の光明を意味していた。そしてこの旅には、片腕を失い垂れ下がった袖という不穏な暗示がつきまとう運命にある。この垂れ下がった袖は、『EUREKA』におけるハイジャック犯の身体において具現化され、澤井と兄妹のバスによる九州旅行において旅は再現される。それを証明するかのように、二作両方において斎藤陽一郎はその旅のきわめて近くに存在する目撃者であり、(同時に彼はけして旅の中に入ることはできない存在でなければならない)やがてはそこから排斥される。今となってはこの作品は『EUREKA』への簡潔な形での序章に見える。もっとも、この作品ではまだ世界は見えない。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)秦野さくら[*]

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