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[コメント] JFK(1991/米)

銃弾が作った映画。
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終盤でケビン・コスナーが「考えてくれ」ってカメラ目線でいうもんだから少し考えてしまいました。

秀作といってよい。3時間近い長さだが、だれることなく高度な面白さが持続している。実はこの映画、私がかなりの子供だった頃にテレビで放送されていて幼いながらに見入ってしまったことがあった。我ながら不思議だ。恐らくこのテンポのいい展開が、子供にも理解できる『ターミネ―ター2』のようなアクション映画と少なからず共通しているからだろう。

本作と構造的に類似している作品に『』『大統領の陰謀』がある。これらの「巨大陰謀系」映画(勝手に命名、全部お勧めです)にはずれなし。

その2作品も含め、「JFK」の本質的な面白さは陰謀に挑戦するメッセージ性と事件の推理の娯楽性が表裏一体で同時に表現されている所だろう。この意味で、題材の勝利ともいえなくもない。

そしてキャスティングの贅沢さ。これは面白いだけではなく、『オリエント急行殺人事件』と同様に複雑な人間関係を理解しやすくする効果がある。粗製濫造される他の豪華キャスト映画とはここが異なる。

無論、「JFK」はハリウッド映画だ。キャスティングもそうだし、家族愛を挿入する所(ここが逆にカワイイのだが)など、テーマに求められるストイックさや硬派さに徹しきれていない感がある。ただ、そのハリウッド的な要素とシリアスな題材が巧みに一体化されていて悪い気はしない。

オリバー・ストーンの作品は『プラトーン』『ウォール街』と観てきたが、扱うテーマの割には娯楽性を高めて、巧く融合させていて面白い監督なのかもしれない。

ところで印象深かったのは、暗殺の瞬間が山ほど出てきたこと。実に「機械的」な映画だ。製作者も、観ているこっちも感覚が麻痺しているんだが、結構グロイんだよなあ。ケネディは暗殺されたのも悲劇だけど、こうやって脳みそが吹っ飛ぶのを死後いつまでも大衆に晒すのも悲劇だ。

ケビン・コスナーは熱弁していたけど政府の陰謀ほど怖いものはないんでないか?まあ、彼の勇気は賞賛するに値するけど。政府はモンスターよりも、狂気よりも恐ろしい。もしかしたら日本政・・・なんていって巻き込まれたら怖いからやめとこう。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ダリア[*]

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