国が機能していない、機能しきれない。

軍隊は壊滅状態、しかも無茶難題を要求する、国民の命など構ってられないヒトラー。地下壕に逃げ込んで上の状況が分からないまま、砲撃の爆撃音だけが聞こえてくる恐怖感。ただ戦況を見守るしか無い無力な参謀達。上層部と現場とのすれ違い、戦場に狩り出され軍服もロクに着れない子供たち、地下ではヒトラーに合唱を聴かせる子供たち、それを指揮する母親、上官の一部は酒に溺れ、パーティーまで始める始末。

これは地獄絵図だ。ヌートリアEさんも書いてあったが、ドイツという国が死に絶える強烈な「死臭」を感じた。吐きそうだった。

なめていた、ここまで目玉をえぐり出すような映画だとは思わなかった。今まで兵士の視点、市民の視点で観た映画は何度か観たが、ヒトラーという国のトップをリアルに描いた映画は知らない。僕はこの映画に何と言っていいのか分からない感情を覚えた。ドイツ自身がこのような忌々しい真実を描く懐の深さに只ただ感動する。