もう映画関係者をところかまわず捕まえ、聞きたくて仕方がない。「何故このマツダという男が邦画に使われ続けるのか」

ARATAも同様、稀に見る「拙い演技合戦」に怒る気も失せる。無駄に豪華な脇役陣の中、田口と山田が頑張りを見せているが、それでもこの２人も足の引っ張りようは強力で、その後光の前には無残に崩れた。

それでもこの作品に★３を入れるのはすべて田村高廣の存在に対してである。個人的には★５でも足りないくらいだが、作品が足を引っ張っていて、苦渋の採点。

このあと急逝したこの名優の「遺影」を映像として遺してくれた、その点だけでもこの映画の価値はある。実際、この前４年間は本編には出演していなかったのだ。囲碁を打っているシーンではまるで風景のような薄い存在になるが、ひとたび台詞をしゃべらせるとその重厚な声音に聞きほれ、言霊の一つ一つがじわっと心に入り込み、他の役者など目に入らなくなる。この圧倒的な役者としてのスケール。

俳優とはこういう人を指すのだ。