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[コメント] ドラッグストアガール(2003/日)

もっと行ける。もっと高いテンションに行けるはず。今の出来だと正直悪くないんだけど良くもない。
Myurakz

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 この本木克英という監督の遍歴を見るに、恐らくこの人は割と穏やかでオーソドックスな作りを基本とする監督さんなんじゃないかと思います。これは松竹っていう会社の方向性とも合致する気がするので、今作は“本木監督なりに”“松竹なりに”派手にテンポ良く作ったコメディ映画って感じを受けるんですよ。

 だけど宮藤官九郎脚本を映像化したいなら、これでもまだまだテンポが遅い。細かいことを言うなら、物語のテンポはいいんですけど、セリフのテンポに畳み掛けるような勢いがないんです。舞台の面白さを旨とする脚本を映画に持ってくるには、僕はこれはかなり重要なポイントだと思っています。

 本来だったらAのセリフに被せるようにB、そしてCと続けていくことでシーン内のテンションをどんどんと上げていきたいところにおいて、この映画ではAやBの後に一拍置いちゃうんですよ。あまつさえカットを分けてよりブツ切れにしようとさえしてしまう。もちろん脚本によってはそれも正しいやり方なんだろうけど、「セリフ単体が面白い」わけではない今作においては、やっぱりそれは失敗なんだと思うのです。

 ただ中には当然それが上手くいっているシーンもあるわけで、ジェロニモさん(徳井優)初登場から大林(田中麗奈)が悲鳴を上げて逃げるところとかはスゴく勢いがあるし、逆に荒川良々が喋るシーンなんかはブツ切れの方が味が出ていたりしています。まぁ結局のところ好みの問題ってことにはなるんでしょうけど、僕はもうちょっとスピード重視で行ってもらった方が好きだし笑えるんですよね。舞台系のクセ者役者を揃えているだけに勿体ない気がします。

 あともう一つ言うなら、主人公の魅力を「田中麗奈の外見」に頼り過ぎです。いや確かに可愛いんだけど、オッサンたちが軒並み恋に落ちてしまうまでの“内面的魅力”は、少なくともあのシーンでは出ていない。可愛い店員にあの程度に声を掛けられるんなら、別に田中麗奈じゃなくてもよくある話になっちゃいます。あそこはもっと入念に(極端なくらいに)可愛い癒しを描いて、観客をオッサンたちごと恋に落ちさせるくらいにして欲しかった。

 それなりにいい材料は揃ってる気がするんですけどね。中華の高級食材を揃えたのにシェフが板前だったような感じです。板前の腕だって悪くはなかったんだろうけど、やっぱり勿体ない。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)直人[*] 水那岐[*]

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