[コメント] キングコング対ゴジラ(1962/日)
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シリーズのトップに凄然と輝く初代『ゴジラ』が1954年。その続編である『ゴジラの逆襲』が1955年。そして、東宝の30周年記念作として公開されたこの『キングコング対ゴジラ』が1962年。その後、1975年までシリーズとして毎年公開され、ゴジラと大怪獣が対決する怪獣映画としてはこの映画が初代ゴジラと言える。ゴジラが初めて対決した怪獣は実際は『ゴジラの逆襲』での対アンギラスだが、その後への影響を考えるとこの映画がやはり初代だろう。のちのゴジラ映画の方向性を完全に決定付けているように思える。人々が放つユーモアはのちのちはゴジラにまで影響してしまうテイストであり、カラー・シネマスコープ(トーホースコープ)でのゴジラ映画製作もこの映画からであり、なによりお祭り的な雰囲気を作ったのもこの映画からである。
しかも、この映画は対決怪獣ものとしては相当の出来の良さがある。クライマックスのキングコング対ゴジラの対決は笑いも交えつつ、緊迫感も迫力も絶えない。真面目と笑いのバランスが適度に取られている素直な娯楽作だ。ゴジラの襲撃シーンにしても初代の恐怖には劣るとはいえ、カラーになっても夜という時間設定をうまく利用してしっかり恐怖感も残している。エンパイアステート・ビルに見立てて国会議事堂に登るキングコングにしても夜のシーンであり、こちらも迫力を感じる。初代の見せ方の良い点はしっかり継承しつつ、方向性は完全に転換してきちんと娯楽アクションを楽しませた意義が高い。『ゴジラの逆襲』は監督しなかった本多猪四郎が再び監督たわけだが、本多は2度“初代ゴジラ”を監督したとも言えるだろう。
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