「タイムマシンを使ってエマを死ななかったことにすると、タイムマシンは完成しなかったことになり、やはりエマは死ぬ。」

子供の頃、頑張って読んだタイムパラドックスの概念をちゃんとふまえた映画であるというのは評価したい。原作に存在しないエマを創造したのもいい。前半の映像美は、技術的に驚くモノはなかったけどセンスが良かった。ＣＧの正しい使い方だとも思う。。。。だからと言って、映画として共感できないのはどうもいただけないよ！

最初はエマの死と時間旅行を通して実存主義的苦悩に陥る科学者、というちょっとドキドキする話に仕上がっているのかと思った。それがアッという間に「エマ」の「エ」の字も話さなくなり、いつの間にか新しい女と手をつないでるし。キャラも神経質な科学者から元ボディビルダーの本領発揮で戦士に早変わり。2本立ての別の映画かと思いましたよ、あたしゃ。

陳腐な正義感を80万年の価値軸を無視して振りかざす主人公に、「これってアメリカ映画？」と確認したらやっぱり。何なのこれ！