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[コメント] ∀ガンダム II 月光蝶(2001/日)

前作よりも各エピソードの長さは自然であり、素直にのめり込めた。ところでターンXというのは、「X(何ものか)によって運命を逆転された者」という意味だそうな。総てのガンダムを許容する作品のラスボスにとって相応しい名だ。
水那岐

ディアナが他の者らに見せる「黒歴史」のニュースフィルムには、ファーストガンダムや『ガンダムZZ』に混じって、他監督の手になる『ガンダムW』『ガンダムX』のシーンが混じっていた。あまつさえ『Gガンダム』という、ガンダム史においてはもっとも異端とされる「ロボット格闘技アニメ」のモビルファイターの図面も見受けられる。

そればかりではない。ターンXなるMSはバラバラになってのオールレンジ攻撃が可能という、ジオングというよりはスーパーロボット的機能を身につけているし、コレン軍曹のMSに至っては『マジンガーZ』を彷彿とさせる「ロケット・パンチ」すら発射してしまうのだ。これは総てのガンダムというより、スーパーロボット物の集大成といえた『ガンダム』のロボットアニメ全体に対する許容であり、鎮魂歌であるように感じられる。実際、ターンA以降のロボットアニメにエポックメイキングな作品は残念ながら存在しない。

富野監督のこだわりはそればかりではない。声優においては、ナチュラルボイスを求める結果名優やシロウト有名人を引っ張ってくる宮崎監督とは一味違い、自ら無名声優を発掘して主役クラスに抜擢する。

絵においてもそうだ。メカデザインにおいてはシド・ミードというビッグネームに頼りはしたものの(もっとも、バンダイが強力にプッシュし、メカおたくの教祖に祭り上げられているカトキハジメなどには一顧だにしなかったが)、キャラデザインにゲーム畑の安田朗を連れてきたり、小説版のイラストには少女漫画界の重鎮萩尾望都を起用するなど、冒険心も豊かだ。ギンガナムの連れていた少女「メリーベル」が、萩尾の名作『ポーの一族』の少女吸血鬼から取られた名前であるのも、ファンには微笑ましい。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)Santa Monica ミュージカラー★梨音令嬢[*] アルシュ[*]

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