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[コメント] ブロークバック・マウンテン(2005/米)

ジェイク・ギレンホールの哀感を湛えた瞳に、射抜かれる自分を感じる。ゲイを語る資格なぞない自分でも、愛することを知るなら忘れ去ることのできない、臆病だが真摯なひとつのいのちの煌きをそこに見る。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







彼をじっくりと見据えたのは、『ムーンライト・マイル』以来のことなのだが、美しい男に育ったものだと感嘆する。ヒース・レジャーというどちらかと言えば陽性だが素朴な青年から見れば、どこか高貴さの漂うイメージに圧倒されるのもやむなしであろう。

世間から歓迎されない恋は永年にわたって続き、ふたりの顔にも年輪が刻まれるのだが、ジェイクの美しさは最後まで褪せない。その衝撃的な最期はヒースには看取られることはないのだが、彼との間に形作られたもろもろの記憶は静かに彼のなかに沈潜し、留まり続けることだろう。

そこには、アン・リーの米国社会におけるマイノリティへの限りない共感が示されているように感じる。東洋の同胞が描いた「はかなくも強い意志」の描写に、いまは惜しみない拍手を贈りたい。

(評価:★4)

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