[コメント] サイダーのように言葉が湧き上がる(2021/日)
奇を衒っていけないワケじゃない。だが、技術の粋を極めてやりたいコトはそれだけなのかい。
人物から環境まで、全てをごく少数の絞られたセンスの持ち主が律しているこのアニメはかなり疲れる。『プロメア』でも思ったが、アニメ監督らはもはやこの国では高齢者にアニメ愛好者がバカにできない人数いるってことを納得しているんだろうか。ポップアートの如く眩しくもビビッドな色彩で染め上げられた背景のショッピングモールの風景は目で追うだけで辟易する。いや、絵はいいんだ、カワイイよ。だけどそういう技術はまっとうな恋愛劇が構築できてからにしてくれ。SNSとモールだけでキャッチーな子供からジジババまでが置いてけぼりにされないユートピア。そんなものはまだない。現に俺は途方に暮れた。そういうところをファッショ的に律しておいて、いざ語ることは恋愛すらも経験のない男女の初歩的なすれ違いとその成就だ。これだけの予算が使える劇場作品でそのあたりはもっと磨けないのか。
正直恋するふたり以外の人物は、物事の収拾になんら力を使っていない。枯れ木も山の賑わい。ヒーローのヘッドホンとヒロインのマスクほどの気の遣われ方は、実際誰にもされていないのだ。で、金の使い道といったら死んだ婆さんが大貫妙子か。そういうのは努力とは言わない。もう少し大作ならアタマを使ってくれ。子供はコドモの知恵を駆使し、ジジババはジジババの知識を捻ってくれ。コミュ障とか「カワイイ」とか、そういう時代へのすり寄りができるのならおのれのベテランとしての知恵を見せろ。ラブストーリーだってスペクタクルは描ける。それができないなら、アニメなんかやめてショボい実写でも撮っててくれ。迷惑が周囲に拡散しないで済む。
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