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[コメント] 蝶の舌(1999/スペイン)

少年に与えられる断片的な言葉の記憶…感嘆とともに、憤怒とともに。それはいまだ意味を知らぬ間に少年の口から堰を切って溢れ出す。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「先生は殴る」「スズメ君」「雨の音」「共和派」「信心者」「姦る」「ティロノリンコ」「蝶の舌」「顕微鏡」「コマーシャリズム」「中国娘」「自由に」「地獄」「アカ」「不信心者」…「ティロノリンコ」「蝶の舌」。

…吐き出された言葉の全ての意味を少年が知るのは、何年か、あるいは十何年かのちのことになるのだろうが、それを待たずに少年は噴火するよりなかった。あまりにも多く謎の呪文を与えられた憤怒をもって。短いこの映画のなかでの中国娘との別れ、犬の死と異母姉妹の存在、そして師を石もて追わざるを得ないこと、すべては少年には謎であるように自分には受け取れた。それゆえの限りない怒りが奔流となって少年を突き動かしているのだと感じ取れてならなかった。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)メイシー[*] m[*]

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