[コメント] 戦場のメリークリスマス(1983/英=日)
戦場を舞台にしているが戦争など何も描いていない。静謐に美しく描かれるのはただ、哀しみ溢れる人の心。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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死と隣り合わせ、そして、人の命運を容易に左右することができるという狂った状況の中、あぶり出されるのは背負った過去。具体的に回想シーンとして描かれるのはセリアズの過去のみだが(この回想シーンが尋常でなく美しい!)、その他の登場人物も同様に重荷を背負っていることは想像に難くない。狂っているようにしかみえない行動も、実は弱い心の現われ。
とにかくすべてのシーン、すべての画面に緊張感が漂っている。そして美しい。そこに坂本のスコアが余韻を深める。
そしてキャスティングの妙。ボウイはさすがの存在感。ヨノイ大尉がよろけるのもうなずける説得力。当時は一介の漫才師だったたけしの、裡に秘めた狂気を見出した慧眼も素晴らしい。坂本については、他にベターなキャスティングの選択肢はあったようにも思えるが、あれはあれでヨノイという脆弱な男をうまく形作っていた。
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