「つまらない！」って散々聞いてたのもあるけど、意外に楽しめた。（笑）　地上波で放送されたものを録画しての鑑賞。不明な点がいくつかあったので、ネットを散策したけど地上波版は結構テンポが良くなっていたらしい。宇多田ヒカルの主題歌も本来は普通にエンドロールで流れるそうだが、地上波版は最後の「戦争が起こっていたかったらの空想シーン」で流れた。あのシーンであの曲はいい。って言うか、映画は作らせてもらえるし、愛を感じる援護射撃はしてくれるし、いい女房をもらったと思う。

ただ、難解だよね。途中で巻き戻して見たり、ネットで情報収集したから何とか理解出来たけど、これを劇場で１回勝負で見るのはキツいだろう。丁度公開時シネコンだったのでこの作品を見たカップルと何組かスレ違ったけど「？？？」状態の顔してたのもわかる。まあ、わたしは『キル・ビル　Ｖｏｌ．２』を見に行ったので同じく相方は「？？？」になってたけど。（笑）

監督によるとあのヘルメットをかぶらせなかった理由は、「キャシャーンは不完全なモノである。」という表現と、ビジュアル的におかしいからが理由だったらしい。（ヘルメットをかぶせてしまうと完全にヒーロー特撮ものになってしまう。）　まあこの作品は監督の思想をキャシャーンの名を借りて言いたかっただけで、別にヒーローものの特撮映画を作る気はなかったみたいだしね。だったら「キャシャーン」のタイトルをつけるな！って意見が大半を占めるだろうけど、当時昔のアニメの実写化が流行っていたので、完全オリジナルでやるよりはるかに企画が通りやすかったのだろう。そういう事情は社会人であれば理解出来る。上層部をダマすには単純なフェイクが一番だから。

「人を許す事の大事さ」、「復讐はさらに悲惨を生む」をメッセージと受け止めたが、最後の爆発のシーンのセリフを聞き取りにくくした理由がわからない。セリフを聞くと、唐沢が彼女に乗り移って復讐をとげたみたいだけど、あのセリフを聞き取れる人いないよね。

６億円の割りには良く出来た作品だと思う。今回は監督の意志決定が中心だったと思われるが、監督をうまくコントロール出来る優秀なブレーンと組めばこの監督は化ける可能性は十分かと。