[コメント] 耳に残るは君の歌声(2000/英=仏)
こういう作り手の志が低い歴史映画を見てしまうと、苛ついてくる。
別にロシア人じゃなくても成立しそうな女の子の波瀾万丈移民物語の背景に適当に歴史的事実やらオペラやらを配置しただけ。歴史やオペラが、単なる引き立て役にしかなってないんじゃ駄目。
オペラというものを通して、当時をフランス社会を俯瞰化しよいうとする気概も、
ジョン・タトゥーロ演じる、敵国フランスで活動する農民出身のオペラ歌手立場から、イタリアとフランスを浮き彫りにさせようとも、
ジョニー・デップ演じる、ジプシーを通して、当時のジプシーのありかたを描くことも、
東ヨーロッパ人の下宿人を通しての、列強に挟まれた東欧人の心情を描くことも、
そして何より、ロシア移民について描くことも、
映画表現としてまったく行われていない、かろうじて役者が与えられたポジションを理解し無言の演技で、これらを感じさせてくれたくらい。
これらを丹念に描かないと、いくら撮影ががんばっていても、こういう予定調和100%映画は正直辛い出来になってしまう。
ただ、ラストの音楽に合わせて連鎖的なエピソードをすべてを一つのシークェンスにまとめたのは、素晴らしかったので、☆一つ追加。
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