[コメント] ショーシャンクの空に(1994/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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映画的なカタルシスが存分に満ちあふれていることに、大喝采!
たしかに、真犯人が誰だったのかは結局判然とせず、ラストのアンディ(ティム・ロビンス)とレッド(モーガン・フリーマン)の劇的な再会にしても、それは彼等の複数の犯罪行為によって手に入れたものだ。となると、ブラックでこそあれ手放しで「感動」できるような話ではない。
しかし、さすがの原作者スティーブン・キング。このブラックな構造も何もかも全て、痛快な活劇として素直に楽しませてくれる。そもそも、カタルシスが絶対善を指向する必然など、この世のどこにもないのだ。そしてそれを効果的に引き立てるフランク・ダラボンの抑制した演出!
そういう意味では、この映画を「希望」「感動」といった方向から手放しで評価することには疑問がある。映画会社がその後に続くダラボンの二作品を「奇跡」という言葉まで持ち出し、同系列のものにまとめてしまった宣伝も同様だ。
しかし、この抑圧部分が長すぎるかもしれない『三文オペラ』を楽しめるなら、映画というマジックに素直に酔える! それだけは間違いない。
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本作コメントへの、ネタバレ投票について
ブルックスの死について触れたコメントについては、コメント記入ページのキャプションでも禁じているような、登場人物の死についての直接の言及ですから、直球のネタバレでしょう。
そして、私はアンディーの抑制された表情(演技)が秘めていたものは、青空や大平洋への「希望」であり、何ものにも犯されない強い「意志」であり、その「希望」と「意志」が、まっしぐらに「脱獄」へとむかって伸びていく光の道(トンネル)だと感じました。
こう考えた理由の一つは、最後の最後まで「ジワダネホ」についてレッドには語らなかったこと、そして普段と違う様子の彼を、レッドや周りの仲間は自殺するのでは、とまで思っていたことです。計画の秘匿と、表面からはうかがえない実現への強固な意志の存在。それが彼の抑制された表情と感情の理由だったのでしょう。
となれば、脱獄を示唆したり、ましてや直接言及していれば全くのネタバレだと考えました。
まさにそういった部分(脱獄→主。有罪?無罪?→従)……の構造が、この作品のシニカルさを表しているとも思います。
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