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[コメント] 居酒屋(1956/仏=伊)

不幸のオンパレード。この時代にみのもんたの相談番組があったら彼女の人生も少しは救われただろうか?
背黄青

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







原作はゾラ。貧しい階級の不幸な女性の生涯を描いている。 映画では多少省略された箇所もある。 例えば ・両親が娘に暴力を振るう表現。 ・娘がその後娼婦になる。 .主人公が亡くなる 場面などには至らないまま FIN となるので話三分の二、といった感じであるが、 これでもかと不幸をふりまいた、リアリティに目を背けない作品に仕上がっている。 古今東西、こういった不幸はありふれてるとはいえ、この作品での 主人公をとりまく目まぐるしく変化する環境に目が離せない。

また、フランスの作品には欠かせないテーマ、ひとりの女性に対する二人(以上)の男性の存在がここでも生きていた。 この主人公女性ジェルヴェーズに関わるのは3人の男性。 若かった彼女との間に子供を二人もうけておきながら女を作り家を出、やがて舞い戻る(だらしない)ランチエ。 もとはマジメだったが脚を怪我してアル中になってからはランチエと同じ穴のムジナに転じ、やがて発狂して店を潰すクーポー。 まっすぐな目で彼女を心から愛しバックアップするマジメな労働者グージェ。

ランチエが再び現れクーポーの妙な友情によって奇妙な同居生活がはじまる。二人とも全く働こうともせず彼女の貯えを崩していく。 彼女は思いあまってこう言う。 「清潔な人はエチエンヌ(彼女の息子)とグージェだけよ」

結婚によって幸せになるハリウッド映画に「野郎どもと女たち(Guys and Dolls)」がある。ミュージカルでも大変人気のある作品だ。 これはギャンブラーだった男が女によってマトモな男に変えられハッピーエンドになるもので、まさにこの作品とは正反対である。 どちらが現実的なものかは、神のみぞ知る。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)りかちゅ[*] TOMIMORI[*]

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