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[コメント] 初春狸御殿(1959/日)

素晴らしくバイタリティ溢れる大映映画。若尾文子が見合の場面へ向かうカット等、フルショットの構図も決まりまくる。そして見合の後、若尾が黒い傘を持って雷蔵と踊るシーンのカッティングも鳥肌もの。傘越しにキスをするカットの官能性よ。若尾の父親役・菅井一郎の存在感もいつもながら素晴らしい。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 さらに本作の落下のモチーフの徹底ぶりは木村惠吾の映画作家としての画面に対する感性を滲ませるものだ。落ち葉や花びら。木の実が地面に落ちる。時に水面に落ちる。ピアノ階段のシーンでも音に合わせて木の葉が落ちる。エアー羽子板(エアーギターみたいな感じ)のシーンも不可視の羽の落下を意識させる。あるいは、空間移動の際に何度も反復される着地の所作についても指摘することができる。

#以下少し冗長ですが備忘で書き連ねます。

・御殿の家老に中村鴈治郎、老中に楠トシエ嵐三右衛門

・レビュー「狸まつり」の初っ端は水谷良重だが、なかなか色っぽい。鴈治郎も少し歌うが、めちゃくちゃ音痴。そのあと雷蔵が登場。こゝから続くレビューシーンの雷蔵の相手役を調べました。当時の大映の若手女優とビクターの歌手が次々とワンシーンだけ雷蔵と絡む。

 一番目、ちゃっきり節の場面は近藤美恵子。二番目、木曾節は金田一敦子。三番目、よさこい節は神楽坂浮子。四番目は中村玉緒。五番目は五木の子守歌で松尾和子。六番目は草津音頭で仁木多鶴子。七番目は藤本二三代。この人もビクターの歌手。八番目は小浜奈々子。最後は花笠音頭で若尾文子登場。ここのカッティングもいい。

・女の河童が目立つ。一人は毛利郁子。目立っている方は小浜奈々子。小浜奈々子は上記の通りレビューシーンでもパートがある。また、別のシーンで和田弘とマヒナスターズの歌うムード歌謡をバックに羽根を持ってセクシーなダンスを披露する。この人は当時日劇ミュージックホールのヌードダンサーだったとのこと。

・菅井の子分には江戸家猫八三遊亭小金馬

(評価:★4)

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