[コメント] 結婚相談(1965/日)
初めての見合いはロスへ転勤予定の梅野泰靖で、2回目は農家の三男坊で技師の草薙幸二郎だが、草薙は実は沢村の男なのだ。やがて、この結婚相談所は裏ではコールガール斡旋業だと分かる。慇懃な沢村の中盤での豹変ぶりが見事だ。これでプロットがギアシフトする。
中盤になって、芦川は、だんだんと肝が据わって動じなくなる。このあたりの見せ方も見応えがある。高橋昌也と夜の浜名湖をモーターボートで疾走する場面なんかが顕著だ。そして、雨の夜、梅野と草薙に連れて行かれる謎の邸宅のシーケンスが本作のクライマックスだろう。召使の老女が岸輝子。邸宅の主は細川ちか子で、いつも通りの圧巻の貫禄だ。離れで監禁されている、細川の知的障碍者の息子の相手をさせられる。鍵と錠と彫像のシンボリックなモンタージュ。芦川は、このシーンで初めて恍惚の表情を見せるのだ。
随所で、芦川の独白と、思い出す体(てい)での科白のヴォイスオーバー(科白のフラッシュバック)がある。それらも含めて、芦川の圧倒的な女優映画なのだが、全体的な感想を云うと、プロット展開が奇矯過ぎるのと、芦川の作り過ぎのキャラ造型もあり、かなり雑駁な感覚を持ってしまう。面白いことは面白いですが。
#備忘で、その他配役等を記述します。
・クレジットバックは結婚式の集合写真。高原駿雄が目立つ。写真が動き出す。花嫁は横山道代。芦川と同い年という設定。
・3人目の見合いの相手が、五十前の農家の男・松下達夫。騙されて一夜を共に。翌朝、2万円もらってしまう。これが運のつき。
・芦川の母は浦辺粂子。妹は山本陽子。弟は若き中尾彬。中尾の短パン姿!結婚相談所の女の子で笹森みち子。芦川の昼間勤める職場の同僚・浜川智子。
・職場の取引先の遊び人で高橋昌也。高橋の女でキャバレーのママが稲野和子。本作の稲野は関西弁で、科白回しはオーヴァーだが、なかなか見せる。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。