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[コメント] ラベンダー・ヒル・モブ(1951/英)

米国アカデミー賞の脚本賞を受賞している英国映画。さもありなん、と感じるような、人物造型の良さ−憎めない、心優しき悪人たちを造型している部分もあるが、いい加減に過ぎないか、と思える展開もある。
ゑぎ

 例えば、金塊強奪のアイデアを思いついたアレック・ギネスと相棒になるスタンリー・ホロウェイは、全くの素人だが、プロの犯罪者をリクルートするためにとった行動と展開なんかは、作劇が過ぎるんじゃないか、というようなところだ。ただし、雇い入れた2人の犯罪者、シド・ジェームズアルフィー・バスを含めた4人の関係がとても良いものなのだ。タイトルは、決行前夜に4人で行った、飲み会の会場の前に掲げられているネームプレート(会場の予約グループ名?)として示される。

 決行場面では、お約束のように、計画通りには進まない。なかでも、ホロウェイがそわそわしてドジを踏むところが可愛い。また、手足を縛られ、テープで目隠しされたギネスが、テムズ川へ落ちる顛末は笑える。

 さて、全編の中でも、画面造型及び演出における特筆すべきシーンは、エッフェル塔の展望台から、ギネスとホロウェイのコンビが螺旋階段を使って地上まで走り下りるシーンだろう。。帽子やコートが飛ぶ。予想以上の速度で、くるくる回る二人。いつしか二人が笑ってしまう、というナンセンスな、ぶっ飛んだ高揚感のあるシーンになっている。

 尚、終盤のクライマックス、警察学校の展示場からの逃走劇も、警察無線を使った大混乱の作り込みなど、台本の周到さがおもんぱかれるシーケンスになっているのだが、私には、やり過ぎに思える。たゞ、こゝでも、ホロウェイの心優しさが描かれていて、このあたりも、この映画が好まれる理由だと思う。

#後に有名になる二人の俳優が、無名時代に出演している。

・冒頭のクラブの場面でオードリー・ヘップバーンが一瞬登場。一見して彼女と分かる、ハッとする美しさ。

・警察の展示場での化学班の一人がロバート・ショウとのこと。こちらは、気をつけて見ていないと分からないレベルの映り方。

(評価:★3)

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