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[コメント] 黄金の腕(1955/米)

見事なスタジオ映画。もう殆どのシーンがスタジオセットでの撮影で演劇的に見える部分もあるけれど、やはりオットー・プレミンジャーらしい縦横無尽なカメラワークが映画の視点を獲得し続ける。
ゑぎ

 またエリノア・パーカーのアパート、酒場、麻薬の売人・ダーレン・マクギャヴィンのアパートという3つの屋内、そしてそれぞれの窓やドアを絡めた表通りとの空間造型によって高い緊張感を維持している。特に酒場の存在がいい。フランク・シナトラとマクギャヴィンが酒場を出て一緒にアパートに入るまでを酒場に置いたカメラが冷徹に見続けるロングショットが凄い。この場面を筆頭にエルマー・バーンスタインの音楽がシナトラの感情を表現する演出も興奮を誘う。(ちょっとアザトイとこありますが。)

 キャストではエリノア・パーカーが一人全体にオーヴァーアクトで臭いキャラクターだが、しかしそれほど嫌味ではない。むしろ表情のきめ細かさに感心した。また、彼女に対するプレミンジャーの演出が最後まですごぶる繊細なのだ。

#備忘。シナトラのオーディションを世話する大物の役はウィル・ライト。オーディションシーンの指揮者がショーティ・ロジャースでドラマーがシェリー・マン。2人ともセリフがある。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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